おくりびと
このニュースを知らない人はいないだろう、ぐらいの勢いです。
私は昨年10月にロードショーで観ました。
生と死について、私自身いろいろと考えていた時期に、
ちょうどこの映画が上映されていました。
日本の文化が海外の人の心に響いた・・・というような感想を
ワイドショーのコメンテーターが言っていました。
私はそれもあるけれど、それだけじゃないと思います。
キーになるのは、チェロ。
チェロは西洋の楽器です。
これがチェロでなく、たとえば日本風に三味線や尺八だったら・・・
心象風景がまったく違ってきます。
お母さんが遺した喫茶店、そして葬儀屋。
どちらも室内はどことなく西洋のアンティークな香りが漂っています。
そこで奏でられるチェロの音色。
外国人にも馴染みやすく、心地よいものなのではないでしょうか。
死という普遍的なものを、
納棺師という日本的な仕事とチェロという西洋的な楽器で
編み上げていくような映画です。
そこに、さまざまな人の人生が交差する。
スクリーンに出てくる人たち以外に、観る側の私たちの人生も交差します。
どの役者さんもよい味わいを出しています。
映画とは、監督や役者さん、映画にかかわる人すべてのさいだねの結晶です。
観る人のさいだねの養分にもなります。
いろんな人のいろんなさいだねが発揮された映画『おくりびと』が、
アカデミー賞という大輪の花を咲かせました♪